組合運営Q&A[役員]


役員

[Q43]役員定数について

中小企業等協同組合法第35条第6項に「理事または監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、3ヶ月以内に補充しなければならない」となっているが、

  1. 定数とは何を指すのか。
  2. 定款で本組合の役員は「理事12人以上15人以内、監事1人または2人とする。」としている場合は、上限の理事15人の3分の1つまり5人まで欠けても補充選挙をしなくともよいか。
[Answer 43]
  1. 定数については従前は確定数をもって定めることとしたのであるが、役員の死亡等により欠員を生じた場合に、その都度選出することは、事実上不便を生じることが多く、実態にそぐわない点もあるので「何人以上何人以内」を定数としている。
  2. 役員補充の場合における取扱いについては、中小企業庁では定款に記載した下限を基準とすることにしているので、設問の場合12人の3分の1以上、すなわち4人が欠け8人になった場合に補充選挙の必要が生じてくることになる。 監事の場合も同様に下限の3分の1以上が欠けた場合に補充義務が生ずることになる。

[Q44]一つの法人から複数の役員を選出することについて

組合員一社から複数の理事を選任できるか。
また、同じ会社から理事と監事を選任できるか。

[Answer 44]

一つの法人の役員から複数の理事を選任でき、理事と監事も選任できる。


[Q45]法人から選出される役員数を制限することの可否

法人たる組合員より選出する役員数については、中小企業等協同組合法に制限がないが、これを定款により一定の制限を加えることができるか。

[Answer 45]

組合員たる法人から選出される役員の数を一定数に制限することについては、法人組合員から選出される役員の数を一律平等に制限するのであれば差し支えないものと考える。
法人組合員から選出される役員の数を一定数内に制限した場合、実際の選挙について定数を超えて選出された者の取扱いをどうするかが問題となる場合があるので、この点定款に明確に規定しておく必要があると考える。


[Q46]組合理事が交替することについて

組合員企業の社長が組合の理事となっているが、社長が交代となった場合に、何ら手続きを経ずにそのまま新社長に理事を交替することができるか。

[Answer 46]

理事の選任は、中小企業等協同組合法第35条の規定により、必ず総会において選挙または選任しなければならないから、それによらない理事の交替ということは、法律に違反する。 理事というものは、組合員たる法人を代表しているのではなく、個人として、組合との委任契約により、公平な立場から組合の業務執行の決定に参画するのである。 したがって、そのまま理事が交替するということは、理事本来の趣旨からいってもできないことである。


[Q47]役員重任禁止の是非

役員の選挙規約に「4期連続して役員となることはできない」と定めることは問題ないか。

[Answer 47]

選挙権の平等の組合原則は、一方で被選挙権の平等を意味するものと解されるので、役員重任禁止の規定は被選挙権を拘束するものであり不適当と考える。


[Q48]員外監事について

役員たる監事は組合員中より選任すべきか。

[Answer 48]

事業協同組合の役員たる「監事」の資格は、組合員であることを問わないので員外から選出することができる。
このことは、特に定款・規約等に明示する必要はないが、員外役員を認めない組合にあってはその旨を記載することが適当である。


[Q49]役員(理事)と組合との関係について

理事と組合との関係は民法上の「委任」によるものか。

[Answer 49]

中小企業等協同組合法第42条において準用する商法第254条第3項の規定により、組合と役員(理事または監事)との内部関係は民法上の委任契約に関する一連の規定が適用される。
したがって、組合と理事との関係は当然に民法第643条(委任関係の成立)の規定によるところになる。


[Q50]理事の辞任届の効力について

理事が辞任届を提出し理事会に出席しないとき、その理事は理事会の決定事項について責任を負わなければならないか。

[Answer 50]

組合と理事との関係は委任関係であり、その委任関係の終了は相手方の承認を必要とせず一方的に終了させることができるので、理事は辞任届をもって理事を辞任したことになる。
しかし、中小企業等協同組合法第42条で準用する商法第258条第1項の関係で、辞任により法定数を欠くときは、辞任した理事は、後任者が就任するまでは理事としての権利義務をもつから、この場合は欠席した理事としての責任を負わなければならない。


[Q51]役員任期の延長による現役員の任期について

役員の任期が定款変更により延長された場合、変更時の役員の任期については、新たな任期に拘束されるのか。

[Answer 51]

組合と役員との関係は委任契約であるが、定款は組合および役員を拘束する法規性を有しているから、役員は委任契約よりも定款に拘束され、定款変更による延長された任期に従わなければならないと考える。


[Q52]全役員が辞任した場合における新任者の任期について

役員の全員が任期の中途において辞任したとき、後任者の任期は前任者の残任期間であるか。それとも新たに任期を起算すべきか。

[Answer 52]

定款に定められた役員の任期は役員に選任された個々の人に与えられる在任の期間である。 したがって、残任期間の定めがなければ補欠の役員に対しても定款による任期が与えられる。
しかしながら、一般的に全員の役員の任期をそろえるための技術的な方法として残任期間の定めを設けるのが通例となっている。
この場合のように役員の全員が辞任した場合には補欠の役員という概念がなくなるし、また、残任期間の定めにより任期をそろえる必要もないので、残任期間の定めにかかわらず新たに任期を起算できるものと考える。


[Q53]代表理事を総会で選任することについて

総会において理事を選挙する際、代表理事を特定して選挙することができるか。
例えば、選挙の際に代表理事1名、理事4名として総会で直接選挙したり、あるいは、最高得票者を代表理事とすることを条件として行なうような選挙方法をとってもよいか。

[Answer 53]

理事一般については、組合と委任契約を締結するのであるから、中小企業等協同組合法においては、総会で選挙する旨を規定しているが、代表理事は、理事会を構成する他の理事との信任関係に立ちながら、理事会で決定された組合の業務の執行を正確に実施するところの組合の代表機関であると解される。
したがって、この趣旨から代表理事は、理事会において選任すべきものとして中小企業等協同組合法第42条で商法第261条第1項の規定を準用している。
いわば代表理事の選任は理事会の専決事項であるから、これを直接総会で選挙することはできない。


[Q54]協同組合に会長制を設けることの是非

過去に理事長の職にあった者のうちから会長を選任し、代表理事の権限の一部を行なわせる会長制を設けたいが、これは可能か。

[Answer 54]

会長は対外的には少なくとも表見代表とみなされ、また、一般的には組合の管理面において理事長との権限の分担等が複雑になり内部の統一が損なわれるおそれがある。
したがって、設問のような会長制を設けることは、法的には不可能ではないが、運営上好ましくなく、理事または顧問として協力を得るのが適当である。
しかしながら、中小企業等協同組合法においてこれを禁止する規定はないので、会長制を設けることが組合の実体からみて運営上最良の方法であれば、これを設けることも妥当と思われる、その適否は実体から判断すべきものであるので所轄行政庁とも協議のうえ判断するのが適当と考える。


[Q55]役員の責任とその解除について

  1. 代表理事の行なった会議費および交際費の使途につき、理事会、監事、総会において承認を受けたものが、その後(翌年)使途が組合に不要のものであることが判明した。 この行為は、代表理事の独断的行為であるが、損害賠償の場合は、当該代表理事の責任に止まるか。あるいは、理事、監事ともに連帯して賠償の責任があるか。
  2. 理事、監事の決算書類に関する責任は総会後何年か。
[Answer 55]
  1. 会議費、交際費の支出は理事長の業務執行に属するもので、あらかじめ理事会で決定されるべき性質のものではなく、代表理事以外の理事については責任がないとする見方があるが、代表理事の業務執行といえども職務に違背する不当な行為については未然にこれを防止し、もって組合の利益を図るいわば総合監視の義務があるので、理事としてこの任務を懈怠し組合に損害を与えたとするならば、連帯して賠償する責任がある。
    また、監事についても、善管義務を怠り計算書類の不正を看過した場合には、理事とともに連帯して損害賠償しなければならない。
  2. 理事および監事の決算関係書類に関する責任は民法の一般原則(第167条第1項)にしたがい、10年の時効にかかることになっている。なお、理事、監事とも総組合員の同意があれば責任の解除ができることとなっている(商法第266条第5項の準用)。

[Q56]決算関係書類の監査を監事が拒んだ場合の処理

決算関係書類の監査を監事が拒んだ場合、監査意見書なしで総会の承認を得ることは可能か。

[Answer 56]

この場合、監事を改選のうえ、あらためて監査を行ない意見書を付して承認を得るべきである。


[Q57]役員の使用人兼職について

監事は理事または使用人と兼ねてはならないことは明示されているが、組合が使用する職員は理事となることができるか。

[Answer 57]

中小企業等協同組合法第37条第1項において禁止しているのは、【1】理事と監事、【2】監事と使用人(職員を含む)である。
監事は会計監査を通じて理事を監督する立場にあるもので、当然に両者の兼職は禁止される。 本条の結果、理事と使用人の兼職は差し支えないわけで、専務に当たる理事が何々部長というような資格で事務担当者となることは、従来もよく行なわれているところであり、これによって弊害のおこることもないので禁止されない。
理事に選任された職員が引き続き職員として勤務する場合、その職務は職員としての事務を担当することとなるが、通常の場合常勤理事である。