組合運営Q&A[事業]
事業
[Q32]定款記載事業を実施しない場合の処理について
定款に記載してある事業を一定期間実施しないときは、必ず総会にはかり定款の一部を改正して、その該当事項は削除しなければならないか。
[Answer 32]
その事業の実施が、翌事業年度ないし近い将来において再開される見込みがある場合には、特に定款を改正して当該条項を削除する必要はない。
[Q33]組合事業の利用強制について
共同販売事業を行なう組合において、組合規約で「組合員の商品はすべて組合を通じて販売しなければならない」旨の直販禁止を行なうことは、独占禁止法上からも差し支えないか。
[Answer 33]
組合事業の利用を組合員に強制することは、その行為の内容が独占禁止法第24条ただし書に該当するもの、すなわち「不公正な取引方法を用いる場合または一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引上げることとなる場合」でない限り差し支えないと考える。
したがって、設問のように組合規約に組合員の商品の直販禁止を規定することは、同法の要件を充たしている限り差し支えない。
なお、組合事業の利用を強制することは、組合員の自由を不当に拘束する危険があること、また、農協法第19条において組合が組合員と組合事業の一部の専属利用契約を締結する場合は、契約の締結は組合員の任意としていることから類推して組合は組合員が自由意思により専属利用契約を締結した場合のほか組合事業の利用強制はできないとする有力な説があるので、慎重に行なう必要がある。
例えば、組合規約により行なう場合でも、組合員全員一致による議決を行なう等の配慮が必要であろう。
[Q34]共同受注と一括下請負の禁止について
事業協同組合が建設工事を共同受注しようとする場合、建設業法にある「一括下請負の禁止」に該当しないものと思われるがどうか。
また、測量関係組合が共同受注する場合の測量法の「一括下請負の禁止」条項に関しても同様に解釈してよいか。
[Answer 34]
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建設工事についての組合の共同受注については、全国中央会が建設省計画局建設業課と協議したところ、次のとおり解釈される。
(1)建設業法第22条で一括下請負をいかなる方法をもってするかを問わず原則禁止している趣旨は、【1】発注者の保護【2】中間搾取の排除である。
(注)【1】一括下請負は実際上の工事施工の責任の所在を不明確にし、ひいては工事の適正な施工を妨げるおそれがある。
【2】中間搾取を容認すれば、工事の質の低下、商業ブローカー的不良建設業者の輩出のおそれがある。
(2)組合の場合、通常中間搾取のおそれはないとしても、受注した案件を単に組合員に配分するだけでは、発注者側として具体的にどのような者が工事を行ない、技術的な管理を行なうのか不明であるため、上記(1)①の観点から一括下請負に該当するといわざるを得ない。
(3)しかしながら、組合はもともと建設業法に基づき、建設業の許可を受けているはずであり、組合として受注した案件について組合として責任ある管理、監督のもとに施工する場合には一括下請負には該当しないと考えられる。
(4)したがって、組合としては、①組合として責任ある管理、監督のもとに施工するか、②しからざる場合においては、一括下請負に該当するため、書面により発注者の承諾を得て施工するか(建設業法第22条第3項参照)いずれかによることが必要である。 -
測量業における組合の共同受注についても、同省測量業課と協議した結果、測量法に基づき登録を受けた組合が責任ある管理、監督のもとに実施する共同受注については、建設業の解釈と同様に「一括下請負」には該当しないものと考えられる。
以上のとおり、いずれの場合にせよ発注者としては、当該組合の具体的内容、信頼性等について不明な場合、「一括下請負禁止」をもち出していることも考えられ、上記を踏まえつつ、各組合において発注者と協議する必要がある。
[Q35]異業種組合における共同事業の利用について
異業種の事業者により組織された組合では、組合の事業によっては一部の組合員のみが利用する場合があり得るが、このような場合には組合の原則に反すると考えられるか。
[Answer 35]
異なった事業を行なう中小企業者が、それぞれの有する異質の技能・技術等を出し合い相乗効果により新しい成果を生み出すために組織化を行おうとするものが増えている。
これらの組合は、異業種の集まりであることから、組合事業の種類、内容によっては一部の組合員のみが利用することがあり得る。
しかし、次のような場合には、中小企業等協同組合法第5条第2項の直接奉仕の原則に反しないものと解されている。
【1】組合事業が現実に一部の組合員についてのみ利用されるのであっても、利用の機会が公平に与えられるようになっている組合
【2】組合事業の利用の機会が過渡的に一部の組合員についてのみ与えられているとしても、将来的に他の組合員にも利用の機会が与えられる計画、仕組みとなっている場合
【3】組合員の事業が有機的に連携している組合において、資材購入や研究開発等の組合事業が一部の組合員についてのみ利用される場合においても、その効果が組合員事業の連携等を通じ究極的に他の組合員にも及ぶことが明らかである場合
[Q36]組合員等からの資金受入れについて
金融事業の資金調達のため、組合員等より、3ヶ月、6ヶ月等に期間を限定し満期に利息を支払う契約で借入れているが、これは法律に違反する行為であると考えられるか。
[Answer 36]
組合が「組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む。)」の事業を行なうために、その必要な資金を銀行その他の金融機関に限らず、組合員からも借入れることは差し支えないが、その借入れが預金貯金または定期積金と同様の性格を有するものである限り「出資の受入、預り金および金利等の取締等に関する法律」に違反するものと考えられる。
また、一定の期間を定め、その中途または満期日に一定の金額を給付することを目的として掛金を受入れることは、相互銀行法に違反するものと考えられるのみならず中小企業等協同組合法の事業協同組合の範囲を逸脱するものと考えられる。
[Q37]損害保険代理業務の実施
事業協同組合の事業として損害保険の代理業務を実施することは可能か。
[Answer 37]
中小企業等協同組合法の上では問題はないが、損害保険協会では、事業協同組合への損害保険代理店委託に関する方針として、一般代理店を圧迫するおそれがある等の理由から、代理店委託を自粛することとしているため、実施することは困難であると解される。