組合運営Q&A[脱退]


脱退

[Q25]脱退者に対する延滞金の徴収について

法定脱退者が組合に対する経費または手数料等を滞納しているとき、仮に4月に法定脱退した者でも事業年度末たる翌年年3月末に持分算定の上、払い戻すことになるが、この場合4月以降滞納金の払込みがない場合、年度末までの延滞金(定款および総会議決をもって徴収するよう規定されている)をも加算して、払戻持分より差引してもよいか。

[Answer 25]

債権を有する組合が脱退者に支払う持分とその債権を相殺する場合、脱退以降持分支払いまでの期間に対し、定款に定める延滞金を課することはできないものと思われる。
定款は組合員でなくなった脱退者に対しては効力を及ぼさないので、脱退者から定款の規定によって徴収することができないものと考えられるからである。
ただし、脱退者より持分の確定するその事業年度末までは、脱退者の債務不履行に対し、民法の法定利率(年5%)による利息を課することができる。


[Q26]脱退を申し出た組合員の取扱等について

  1. 脱退を申し出た組合員が、その後の組合運営についての権利義務を主張し行使できるか。
  2. 脱退の申し出日以降、組合賦課金の納入を行なわない場合は。
  3. 脱退した組合員に対し期末に精算の上、出資金の払い戻しをするが、未納賦課金を相殺して差支えないか。
[Answer 26]
  1. 事業年度末までの期間内は組合員としての権利義務を負わなければならない。
  2. 賦課金を納入しないならば組合員としての義務を怠ることになり、除名、過怠金の徴収等の制裁も定款の定めにしたがって可能となる。
  3. 脱退した組合員が組合に対して未納賦課金その他の債務を負っている場合は、組合は中小企業等協同組合法第22条の規定による持分の払戻停止によって対抗でき、あるいは民法第505条の規定により払い戻すべき持分とその債務とを相殺することもできる。

[Q27]脱退予告者の権利について

自由脱退予告者は、持分が計算される年度末までは組合員であり、持分権があると解釈してよいか。 この組合員は、その持分を確定する決算総会(年度末後に開催)に出席して、組合員権を行使することはできるか。

[Answer 27]

組合員は、中小企業等協同組合法第18条の規定により脱退することができるが、この場合、予告を必要とし、かつ、脱退の効果は事業年度末でなければ発生しない。 したがって、組合員は予告後も年度末に至るまでの間は依然として組合員たる地位を失うものではなく、それまでの間は、組合員としての一切の権利を有し、かつ義務を負うものである。 また、脱退の効果は、事業年度末において発生し、それ以後は組合員たる地位を失うものであるから、組合員として事業年度終了後の総会に出席することはできない。


[Q28]脱退予告取消しの効力について

脱退予告の書面を提出した組合員が、年度末までの間に脱退予告の取消しを届け出た場合に、脱退予告の取消しができるか。

[Answer 28]

脱退が組合員の自由意志によって行ない得ることは、協同組合の根本的原則である。 しかしながら、随時脱退を認めれば、組合の事業計画および資金計画が常に不安定となり、組合の事業を妨げ、または組合の債権者の利益を害することになるので、脱退には予告を必要としているものである。
脱退の予告が上述の趣旨により必要とされていることから、予告後にその取消しを行なってもとくに弊害を生ずるものではないので取消しはできると考える。


[Q29]解散する組合における脱退届出者の取扱いについて

本組合には、11月に脱退を予告した組合員がいるが、その後開催した臨時総会で1月31日をもって解散することを決議した。

  1. 本組合の事業年度は4月~3月であるが、会計年度はどのように設定されるのか。
  2. 脱退届出者は、その後になされた協同組合の解散の決議に何らかの影響を受けるのか。
  3. 当該脱退者の負担すべき組合の清算費用はどこまでか。
[Answer 29]
  1. 組合が解散した場合、事業年度は一応解散時において終了し、解散時より通常の事業年度末までが別の一事業年度となることが法人税法上定められており、解散した組合は清算の範囲においてのみ存続することとなるので解散時の1月31日を事業年度(会計年度)末とするのが妥当である。
  2. 協同組合は脱退の自由を原則としており予告は当然に有効であるので、事業年度末である解散時に脱退することになる。
  3. 解散時に脱退した場合でも清算に入るため、持分の確定は清算結了を待たねばならない。 清算費用も公益費用として組合員に配分すべき財産から控除されるため、脱退者と残留組合員とで費用負担に差異はない。