組合運営Q&A[総会]


総会

[Q69]役員任期満了後の総会招集方法について

理事の任期満了後の総会招集は、どのように行なったらよいか。

[Answer 69]

退任等により役員の員数が欠ける場合は、前役員(任期満了または辞任による退任に限る)は新たに選任された役員が就任するまで役員としての権利義務を有するから、前理事が行なうこととなる。


[Q70]総会議事録の署名者について

新役員を選挙した総会の議事録署名者は、新旧のどちらの理事か。

[Answer 70]

総会議事録に署名すべき理事については、役員任期の定款規定方法、総会開催日、前任者の退任時期、後任者の就任時期等により分けて考える必要がある。

  1. 定款規定の役員任期を「何年」と定めている場合においては、以下のとおりとなる。
    (1)総会開催日が、前任者の任期満了前であって、前任者から【1】「総会開催日前」に辞任する旨の辞任届が提出されている場合には、前任者には後任者の就任時までの残任義務があり、一方、後任者が選出されると同時に就任を承諾すると、新旧両理事に議事録への署名を求めることとなる。
    次に、前任者から【2】「総会開催日」、【3】「総会終結時」をもって辞任する旨の辞任届が提出されている場合には、総会で後任者が選出され、しかもその者がその総会に出席していたとしても、就任を承諾できるのは、総会開催日翌日以降あるいは総会終結後となるため、後任者には議事録への署名義務はなく、それぞれ旧理事が署名することとなる。
    さらに、【4】辞任届が提出されていない場合には、後任者の就任は、前任者の任期満了後になるため、旧理事に署名を求めるほかはない。
    (2)総会開催日が前任者の任期満了日と一致する期日であって、前任者から【1】「役員選挙直前」に辞任する旨の辞任届が提出されており、しかもその後任者が同一の総会で選出され、直ちに就任の承諾をした場合には、新旧両理事が署名することとなるが、【2】「総会終結時」に辞任する旨の辞任届が提出されている場合、または【3】辞任届が提出されていない場合には、後任者の就任は、総会終結後あるいは総会開催日翌日以降となり、議事録への署名の必要がないため、それぞれ旧理事が署名することとなる。
    (3)総会開催日が前任者の任期満了後であるときには、前任者には残任義務が生じているが、この場合、後任者の就任承諾の時期が、【1】「総会での役員選出時」であるときには、新旧両理事に署名義務があり、【2】「総会終結後」または【3】「総会開催日の翌日以降」に就任を承諾する場合には、旧理事が署名することとなる。
  2. 定款規定の役員が「何年または就任後第何回目の通常総会終結時までのいずれか短い期間」と定められている場合には、以下のとおりとなる。
    (1)「何年」到来前に総会が開催される場合には、前任者の任期が「総会終結時」となり、旧理事が署名することとなる。
    (2)「何年」到来後に総会が開催される場合には、前記1-(3)と同様の取扱いとなる。

[Q71]白紙委任状について

組合または理事長あてに提出された白紙委任状は、理事長に代理人の選定を一任したものと解釈されているが、

  1. 理事長が単独で代理人の選定をするということは、自己に都合の良い者を選べるという弊害があるのではないか。
  2. 白紙委任状は、議案審議に入るまでに必ず代理人の氏名が記されていることが必要であるか。
[Answer 71]

白紙委任状と呼ばれるものは、受任者を特定せずに、委任状作成者が記載の一定事務の処理およびそれに要する代理権授与の申込をなし、これの取得者が白紙の部分に受任者として自己の名を記入することによって両者間に契約が成立し、委任状としての効力を発するものである。
白紙委任状には種々の種類があるが、通常は、総会に出席しない組合員が議決権を行使すべき代理人を白紙にして組合に送るものである。
すなわち、組合が組合員に対して総会招集の通知とともに議決権および選挙権代理行使の委任状用紙を送付し、その代理権の授与を勧誘するものであって、これは一種の慣行として一般会社等でも行なわれているものである。

  1. したがって、理事長が単独で自己の有利な代理人を選定することはあり得るわけであるが、代理権自体の行使についても中小企業等協同組合法第11条第2項~第5項に制限規定が設けられているのでこの点からも若干の弊害は防ぎ得るものである。
  2. 白紙の箇所が補充されて初めて委任状としての効力を発するものであるから、当然代理権を行使する者の氏名が記入されていなければならない。

[Q72]委任状による代理制限について

  1. 総会の委任状は、出席者1人につき2人までとし、それ以上の委任を受けることができないという規定ができるのか。
  2. 総会に出席しない組合員が被委任者の氏名を記入せず、組合または理事長あて提出の委任状は数に制限なく理事長または総会の議長に一任されたものとして、議決権行使の数に加えることができるか。
[Answer 72]
  1. 中小企業等協同組合法第11条第4項で定められているように代理人が代理し得る組合員の数は5人までとなっているが、同条第2項では「定款の定めるところにより」代理人に議決権または選挙権を行使させるべき旨が定められているので、5人までの制限をさらに定款で縮小することができるものと解される。
    したがって、組合の定款で代理人が代理し得る組合員の数を2人までとする旨を規定すれば、これに従わなければならない。
  2. 代理人の氏名が記載されていない、いわゆる白紙委任状は理事長に代理人の選定を依頼したものであって理事長または議長に議決権の行使を一任したものではないと解されるから、設問のごとく理事長または議長がこれを適当に議決権の数に算入することは許されないし、またこれが総会において行使される際には、代理人の氏名が記入されていなければ代理権を証する書面としての効力がないことになる。

[Q73]白紙委任状の行使について

白紙委任状行使の権限は議長にあるか、理事長にあるか。 白紙委任状の行使を特定の組合員に分割して依頼することは可能か。

[Answer 73]

総会の議長は、議決権を有せず、議事の進行、採決を行なうのみである。 一方理事長は、総会の開催、議案の提出、議決権の確認その他総会に関する全般的責任をもつ。
したがって、白紙委任状行使の権限は、議長にはなく理事長にある。
白紙委任状行使の権限は理事長にあるが、1代理人の代理し得る議決権の数には限度があるので、特定の組合員に分割してその行使を依頼することは必要であり適法と考える。


[Q74]議長の委任状行使について

総会の議長は、委任状を受けられるか。

[Answer 74]

中小企業等協同組合法第52条第3項の規定により、議長は議決権を有しないため、委任状による議決権の行使はできない。